指名手配中だった男性が、潜伏先のアパートで遺体となって発見された。
室内にはビデオテープが山積みにされ、証言者のスケッチには「50本くらいある」と書き込まれている。
残されていたビデオテープは
すべてが同じ内容だった
2018.11 / 潜伏先
FAKE DOCUMENTARY “Q” / 記録映像再検証
『RIEKO』は、失踪した歌手を扱った単話作品に見える。
謎の指名手配犯の部屋から見つかった、50本近くのビデオテープ。
映像の中でRIEKOは、音楽活動のシーンとプライベートなシーンとが映っていた。しかしそれらは時系列がぐちゃぐちゃに編集されていた。
時系列順にすることで、何か読み取れるのだろうか?
また、字幕や音声が極端に乱れる場面があった。本来の字幕や音声を解読することは出来ないのだろうか?
そうして浮かび上がる、一人の男。
彼はいったい何者で、何がしたかったのだろうか?
男の正体と真意に迫る。

指名手配中だった男性が、潜伏先のアパートで遺体となって発見された。
室内にはビデオテープが山積みにされ、証言者のスケッチには「50本くらいある」と書き込まれている。
残されていたビデオテープは
すべてが同じ内容だった
なぜ、一人の男が同じ内容のテープを50本近く所持していたのか。
二つの記録は、それぞれの内部では日付が前へ進む。テープの再生順では、その二系列が交互に差し込まれていた。



真正面からの手持ち撮影。室内でもRIEKOはカメラを警戒せず、演奏後には撮影者と言葉を交わす。
盗撮者ではない。関係の名前は分からないが、生活の内側にいた人物である。
RIEKOがアコースティックギターを弾き、穏やかなメロディーで歌っている。
縺薙l縺悟ヵ縺後M譁ー蜿・蜿励↓…
「もっとうまくやってよ」
「バレてんだよ? バカじゃない?」
「気づかなければ私、幸せなままいられたのに」
この場面で復元された三行は、RIEKOが歌っている言葉と一致した。字幕は失われておらず、別の文字コードで読まれた状態だった。
撮影者デビュー前の私的空間を撮影した。
編集者私的映像と公的映像を一本に組んだ。
複製者同じ内容のテープを50本近く残した。
所持者指名手配中、潜伏先でテープを所持した。
モデルを選ぶと、資料が移動した経路を表示します。

デビュー前から、RIEKOを生活の内側で撮っていた人物がいる。

「君はもういない」「僕のケイタイ鳴らない」。男性一人称と喪失が反復する。

テレビではデモを送った人物を「友人」と説明し、隣には川島英治が座る。
浴室。撮影者以外の、人のような像。画面から身元や状態は確定できない。
以下は、ここまでの資料を最少人数でつないだ本考察の仮説です。
男はRIEKOのデビュー前から私生活を撮影し、音楽活動を支えていた。
デビュー後、川島が隣に座る公式の画面で、男の存在は「友人」へ縮小された。
男は自分が知るRIEKOと、世間へ示されたRIEKOを交互に並べた。
時系列を崩し、文字と音を乱したテープを50本近く残した。
シリーズに反復する大量複製を儀式の工程と読むなら、これは保存ではなく、RIEKOと川島へ向けた復讐だった。
男が川島を殺害したこと、RIEKOが儀式によって消息を絶ったこと、作詞者が男だったこと。これらは全体をつなぐ強い読みだが、映像だけで確定はできない。
子ども、堕胎、枕営業をデビュー条件として読む余地はある。ただし直接の証拠はなく、本考察の中心には置かない。
RIEKOの活動記録が途絶える前に、まず彼女のそばにいた男が、公の物語から消えていた。
2018年、男は指名手配犯として遺体で発見される。その部屋に残った50本近くのテープだけが、私的なRIEKOと、自分が消された痕跡を繰り返していた。
彼は、何を終わらせるために同じ記録を増やし続けたのか。 テープを巻き戻す